CAT4とは何か?
インターナショナルスクールに転校するとなると、Assessmentという名の下で、「CAT4」を受けるよう指示されることがほとんどです。でも、CAT4って一体何なの!?と戸惑ってしまう方も多いのではないでしょうか。本記事では、そもそもCAT4とは何なのか、どんな内容なのか、対象年齢や対策方法についてご紹介します。
CAT4は「認知能力テスト」
CAT4は、Cognitive Abilities Test 第4版の頭文字を取った略名です。GL Assessmentという、イギリスの会社が開発したテストの1つです。世界的に普及しているテストになります。
CAT4は、算数や国語、理科といった勉強で得られる知識・学力を測るものではありません。生徒の地頭や特性、処理能力といったcognitive ability(認知能力)を測ることで、生徒の包括的なプロファイル、人物像のようなものを知る、というのが目的です。
その生徒はどんな分野に秀でており、苦手なのかを知ることで、学業の可能性や必要なサポート、適切な学習内容等を考える目安になり、生徒にあった教育を提供できる、というのが、学校がCAT4を実施する理由です。
入学・転校する場合以外にも、在学中も定期的に受験するテストです。紙とオンラインのバージョンがありますが、オンラインで受ける場合がほとんどです。オンラインであれば、国外であっても、転校する前の学校で受験することが可能です。
CAT4の内容
CAT4は、以下の4つの分野から生徒の認知能力を測ります。
① Verbal Reasoning(言語的推論)
② Non-verbal Reasoning(非言語推論)
③ Spatial Reasoning(空間推論)
④ Quantitative Reasoning(定量的推論)
これらの分野は、以下の4つの能力を評価します。つまり、以下の4つの能力が、「認知能力」です。
・Reasoning with words(言葉を用いた推論) – 言語的能力です。①のVerbal Reasoning(言語的推論)によって測られます。
・Reasoning with numbers(数字を用いた推論) – 数字を使った考察力です。④の Quantitative Reasoning(定量的推論)によって測られます。
・Reasoning with shapes and designs(形やデザインを用いた推論) – 図や形の変化を推測する力です。② のNon-verbal Reasoning(非言語推論)の分野で測ることのできる能力です。
・Thinking with and mentally manipulating precise shapes(正確な形を捉え、頭の中で動かすことができるかどうか) – 空間認知能力を測ります。④ のQuantitative Reasoning(定量的推論)によって測られる能力です。
この4つの能力を測るにあたり、各分野につき、2つの異なるテストを行います。そして、各分野の得点から、生徒の能力の分布と各分野における特性を評価します。
しかし、実際のCAT4は、3つのパートに分かれています。4つの能力を測るのに、3つのパートしかないの?と疑問に思われるかもしれませんが、各分野に2つずつあるテスト(合計8つ)が3つに上手く分配されています。パートの分配に関して、詳しくは、こちらをご覧ください。
制限時間は、各セクション45分です。オンラインの場合は、Part 1が30分、Part 2と3が41分です。これらを、選択問題で問うていきます。全部で2時間15分(オンラインは2時間)になります。とはいえ、早く終わったら、次のセクションに進むことができるので、あくまで最大2時間15分です。
対象年齢は、6歳から17歳です。全員が同じテストを受けるわけではなく、学年・年齢によってテストのレベルが異なります。詳しくは、本記事の「対象年齢」の項目で説明します。
実際に、どのような問題があるのか、見ていきます。
問題例
もちろん、年齢や実施日によって問題は異なるのですが、出題パターンは決まっています。各分野ごとにご紹介します。
① Verbal Reasoning(言語的推論)
・Verbal Classification
5つの選択肢の中から、提示されている3つの単語と最も似ているものを選ぶ問題です。言語において、類似点や関係性を見つけ、原則を導き出す能力を測っています。単語の知識がなければ解くことができないため、英語力を推し測る目安にもなります。
つまり、下の問題の問いは、doubtful、confusing、vagueの3つの単語に、最も似ているものは、AからEのどれか、です。3つとも、「曖昧で、定かでない」という意味合いを持っていますので、この場合の正解はDのuncertainになります。
・Verbal Analogies
矢印で示された単語のペアがあるので、それがお互いにどう関係しているかを考え、同じ法則を用いて、空欄に当てはまる単語を選び、2つ目の単語ペアを完成させるという問題です。わかりずらいので、以下の例題をご覧ください。
BlueとColourが矢印で示されています。Blueは、Colourの種類の1つです。つまり、Socks に対応する単語は、Socksが属する何かになるはずです。だから、選択肢の中で最も適当なものは、AのClothingになります。靴下は、衣服の一種ですよね。
② Non-verbal Reasoning(非言語的推論)
・Figure Classification
こちらは、図形を分類するテストです。3つの図形が問題で示されるので、それらに共通している特徴や繋がりを見極め、5つの選択肢の図形の中から、最も3つの図形に近いものを選びます。
下記の問題では、3つの図形は全て五角形です。AからEの中で五角形の図形は、Aのみですので、答えはAになります。
・Figure Matrix
Figure matrixでは、3つの図形が示されます。上の2つは、ペアになっており、そのペアの関係性を当てはめ、下のペアを完成させるという問題です。
例題では、左上の図形と右上の図形がペアなので、左下の図形は右下の図形とペアになる必要があります。ここで、右上の図形は、左上の図形を時計回りに90度回転させた時の形であることがわかります。よって、右下の図形を推測するには、左下の図形を時計回りに90度回転させれば良いのです。従って、答えは、Dの図形になります。
③ Spatial Reasoning(空間推論)
・Figure Analysis
図形を分析するテストです。繰り返し折り畳まれ、穴が開けられた正方形が提示され、それを最終的に開いたとき、どんな展開図になっているか、を問う問題です。
例題は、矢印の方向に2回正方形を折り畳み、3つの穴を開けた図形です。開くと、Cの形になります。
・Figure Recognition
示される1つの図形が、AからEのどの図形の中に含まれているか、を見つける問題です。
例題では、示されている三角形は、Dの図形の左側の部分にあたります。他の図形には、示されている三角形は含まれていないので、答えはDです。
④ Quantitative Reasoning(定量的推論)
・Number Analogies
3つの数字のペアが示されており、最後のペアの数字を予想する問題です。2つの数字のペアから、法則を導き出し、それを当てはめて解答します。
例題では、5が13と、11が19とペアになっています。どちらも、左側の数字に8を足すと右側の数字になります。よって、6のペアは、6+8=14です。従って、答えはCの14です。
・Number Series
Number Seriesテストでは、5つの数字が示されています。これらは数列になっているので、6つ目の数字を予想する問題です。
下の問題では、7は3より4大きく、15は7より8、31は15より16、63は31より32大きくなっています。4×2は8、8×2は16、16×2は32です。つまり、2つ前の数字と1つ前の数字の差に、2を掛けると、求めたい数字と1つ前の数字の差になるのです。32×2は64なので、求めたい数字と「63」との差は64です。従って、答えは、Dの、63+64=127です。
対象年齢
CAT4は、レベルがAからGまで、7つあります。Level XとYもありますが、こちらは6から8歳向けのテストです。下記が、年齢とレベルの互換表です。
Year 2: Level X (6–7 years)
Year 3: Level Y (7–8)
Year 4: Level A (8–9)
Year 5: Level B (9–10)
Year 6: Level C (10–11)
Year 7: Level D (11–12)
Year 8: Level E (12–13)
Years 9 + 10: Level F (13–15)
Years 11+: Level G (15–17+)
結果について&活用方法
結果は、各分野ごとに点数化されたものになります。それを合計して、生徒の得意・不得意な分野や能力を測ります。
先生用、生徒用、保護者用の成績表が用意されています。成績表には、CAT4の結果を踏まえ、生徒の得意・苦手分野を説明したり、おすすめの科目選択等が書いてあります。この教科だったら、〇〇点取れるだろう、のようなAIが算出した予想も付いています。将来の教科や進路選択にも役立つかもしれません。
とはいえ、CAT4の結果は百発百中では決してないですので、あくまで参考程度にお使いください。お子様が好きな教科があれば、そちらを優先することをおすすめします。
対策方法
CAT4は、対策して臨むテストではありません。学力を測るのではなく、生徒に備わっている基本的な力を測るテストだからです。しかし、「わかるのに、解けない」ということは避けなくてはなりません。問題形式の理解は深めておいてください。
また、各問題形式につき、1問あたり何秒費やせば良いのか、についても計算されていますので、ご紹介します。
Verbal Reasoning
Verbal Classification – 1問あたり20秒
Verbal Analogies – 1問あたり20秒
Non-Verbal Reasoning
Figure Classification – 1問あたり25秒
Figure Matrices – 1問あたり25秒
Spatial Reasoning
Figure Analysis – 1問あたり30秒
Figure Recognition – 1問あたり30秒
Quantitative Reasoning
Number Analogies – 1問あたり33秒
Number Series – 1問あたり26秒
基本的な情報は、本記事でご紹介しましたが、以下の公式サイトからは、CAT4についてより詳しく知ることができます。
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