教育カリキュラムの違い②(IB編)
IB(正式名称 International Baccalaureate)は、International Baccalaureate Organisation というNPOによって設立されたカリキュラムです。
日本語では、「国際バカロレア」になります。元々は、外交官や国際機関で働く人々の子女らが、親の異動にかかわらず滞りなく母国で大学に進学できるよう、様々な国の大学入学制度に対応するカリキュラムとして発足されました。
「多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに飛んだ若者の育成」を理念に掲げています。
このIBですが、Primary Year Programme (PYP)、Middle Year Programme (MYP)、Diploma Programme (DP) / Career-related Programme (CP)なる、3つのステージに分けられます。PYPは、3歳から12歳、MYPは11歳から16歳、DPおよびCPは16歳から19歳が対象です。
PYPは、比較的自由と言われるプログラムで、児童らは言語・算数・社会・理科・芸術・体育の6教科を横断的に学び、精神と身体の成長を目標としています。
「私たちは誰なのか」、「私たちはどのような時代と場所にいるのか」、「私たちは自分自身をどのように表現するのか」、「世界はどのような仕組みになっているのか」、「私たちは自分自身をどのように組織しているのか」、「地球を共有するということ」という6つのテーマを基本とし、教科の枠を超えて学びます。
1つのテーマにつき6週間程度の期間で取り組みます。PYPの学びの特徴は、UOI(Unit Of Inquiry)と呼ばれる学習のアプローチです。UOIとは、リサーチ、行動、発表、振り返りというプロセスを指します。それぞれの単元で、1つのセントラルアイディア(例えば、平和と紛争について、など)を扱い、UOIに基づいて探求していきます。
MYPでは、生徒全員が言語と文学、第二言語、個人と社会、理科、数学、芸術、保健体育、デザインの8つの教科を学びます。
PYPのような教科横断型の学習ではありませんが、どの教科でも探求学習をすることが必須です。MYPでは、テストやレポートが行われます。
全て4つの評価基準(Criterion)に基づいて採点され、評価基準はそれぞれCriterion A が思考力・知識、Criterion B が準備力、Criterion C が応用力、そしてCriterion Dは振り返り力となります。また、最終学年(G10)では、Personal Projectと呼ばれる自由研究のようなプロジェクトがあり、自分の好きなテーマで活動を行った後、レポートを提出します。
DP・CPは、IBカリキュラムの最後の2年間が対象のプログラムです。CPは、キャリア関連のプログラムで、職業体験なども含まれています。DPは、世界中の大学への進学資格を得られるプログラムです。
DPを取得するためには、6教科を履修し、さらにExtended Essayと呼ばれる卒論、TOK(Theory of knowledge)という哲学、CASという課外活動を行わなければなりません。
言語と文学、第二言語、個人と社会、理科、数学、芸術の6つのグループから1教科ずつ選択し、6教科を構成します。各教科Higher Level(HL)とStandard Level(SL)が提供されており、6教科のうち、最低3教科はHLで取得する必要があります。
各教科7点満点で、それにEEとTOKが3点分として加わり、合計が45点となります。各教科は、7割程度が最終学年の5月頃(日本や南半球の場合は11月)に行われる最終試験での成績で、残りの3割がIA(Internal Assessment)というレポートで評価されます。
次回は、アメリカのカリキュラムについてご紹介します。
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