IBDPの科目選択と進路


インターナショナルスクールで、高校まで通うとなると、自分が勉強する教科を選択しなければなりません。この科目選択は、自分の好きな教科をただ選んでいけばベスト、というわけではなく、大学進学や将来の進路にも関わってくる大事な選択です。本記事では、IBDPの科目選択と、それに伴う進路の方向性についてご紹介します。



どんな教科がある?

IBDPに関していうと、6つの教科グループがあり、そのグループごとにいくつかの科目があります。各教科グループから1つの科目を選択します。6つの教科グループは以下の通りです。


・Group 1: Studies in language and literature(言語と文学)

・Group 2: Language acquisition(言語習得)

・Group 3: Individuals and societies(個人と社会)

・Group 4: Sciences(理科)

・Group 5: Mathematics(数学)

・Group 6: The arts(芸術)


補足として、言語と文学は国語、言語習得は第二言語、個人と社会は社会科というふうに捉えていただいて結構です。芸術は、必ずしも履修しなければならないわけではなく、他のグループの教科を2つ選択することも可能です。


各グループで、提供されている科目は、以下の通りです。


Studies in language and literature

Language A: literature(文学)

Language A: language and literature(言語と文学)

Literature and performance(SL only)(文学と演劇)

*Literature は、55の言語で、Language and literatureは17の言語で、Literature and performanceは英語でのみ提供されています。

*Literatureは、文学作品のみを、Language and literatureは、文学作品から広告まで幅広い言語的なものを扱い、Literature and performanceでは文学と演劇の関係性について学びます。


Language acquisition

Language ab initio (SL only)

Language B 

*Language ab initioは、その言語を学ぶのが初めての人向けのコースです。SLのみの実施です。


Individuals and societies:

Business management(ビジネスマネジメント)

Economics(経済学)

Geography(地理)

Global politics(国際政治学)

History(歴史)

Digital society(情報社会)

Philosophy(哲学)

Psychology(心理学)

Social and cultural anthropology(社会と文化人類学)

World religions (SL only)(世界の宗教)


Sciences

Biology(生物)

Computer science(コンピュータサイエンス)

Chemistry(化学)

Design technology(設計技術・デジタルデザイン)

Environmental Systems and Society (SL only)(環境システムと社会)

Physics(物理)

Sports, exercise and health science(SL only)(スポーツ、運動、健康科学)


Mathematics

Mathematics: analysis and approaches SL

Mathematics: analysis and approaches HL

Mathematics: applications and interpretation SL

Mathematics: applications and interpretation HL


The arts

Dance(ダンス)

Music(音楽)

Film(映像)

Theatre(演劇)

Visual arts(美術)

ただし、これらはIBが認可している科目であって、全ての学校が提供しているわけでは決してありません。大きめの学校では、各グループ4〜5の科目があり、小さな学校では、1〜2科目のみしか提供されていないこともあるのが現状です。高校までインターに通われる方は、学校を決める前に、科目選択の幅を確認しておくことを強くおすすめします。



各科目ごとの将来の進路の可能性

もちろん、LanguageやMathemathicsは全員取らなければならないわけですが、その他の教科や、ハイレベル・スタンダードレベルの組み合わせは、将来の進路に関わってきます。とはいえ、科目選択は、将来の進路を決定、限定してしまうものではありませんし、自分の希望する進路だけを軸に、細かく決定する必要もありません。


各科目(主流なものに限定しています)を学ぶことによって、将来どんな進路が可能になるか、は以下の通りです。


Group 1&2

Languages:翻訳、通訳、ジャーナリズム、執筆、広告業、言語学、言語音声病理学、社会活動


Group 3

Business management:国際ビジネス、経営、金融、銀行、株式分析、マーケティング、広告、都市計画、起業、NGO、政府機関

Economics:法律、政府機関、コンサルティング、金融、研究、公共方針、国際ビジネス

Geography:国際開発、都市開発、公的開発、自然災害・緊急事態アナリスト、銀行、公衆衛生責任者、軍事、研究、航空、教育、開発コンサルティング、国際関係、環境科学

Global politics:国際関係、政治、開発、教育、ジャーナリズム、外交、執筆、法律、政府機関、公共政策

History:研究、歴史的建造物等を扱う分野、教育、考古学、ジャーナリズム、編集、政策、法律

Psychology:研究、教育心理学、カウンセリング、法医学心理学、健康心理学、運動心理学、教育、コンサルティング、調査、神経科学


Group 4

Biology:微生物学、資源管理、生息地保護、海洋科学、古生物学、健康管理、医学、看護、歯学、薬学、スポーツ科学、獣医学、動物学、栄養学、毒物学、水質科学

Computer science:アプリ開発、アナリスト、データセキュリティ、情報、ゲーム開発、エンジニアリング、ウェブデザイン、電気通信、IT

Chemistry:分析化学、バイオテクノロジー、臨床化学、生化学、法医学、薬学、ナノテクノロジー、古生物学、物理化学、法医学、環境コンサルティング

Design technology:データサイエンス、ソフトウェア開発、UXデザイナー、アナリスト、クラウド管理、サイバーセキュリティ、IT、建築

Physics:エンジニアリング、建築、ロボット工学、航空、電気通信、コンピュータサイエンス、天文学、地球物理学、気象学、技術者

Sports, exercise and health science:スポーツ、レクリエーション、健康、販売、教育、フィットネス


Group 5

Mathematics AA:数学、工学、物理科学、経済学、建築

Mathematics AI:社会科学、自然科学、医学、統計、ビジネス、工学、経済学、心理学、デザイン



Group 6

Music:音楽制作、音響技術、演奏、教育、音響工学、ジャーナリズム、イベント、メディア

Visual arts:芸術、写真、メディア、NPO、政府、建築



大学の各学部がよく要求/推奨する科目

大学・学部によっては、IBDPや高校の課程で、何らかの科目を履修し一定の成績を収めることを要求または推奨していることがあります。一概には言えないので、しっかりとその大学のホームページ等から確認することをおすすめしますが、ここでは、一般的な学部ごとの科目条件をご紹介します。


建築学:Mathematics AA HL/SL、Physics HL/SL、Digital Design、Artsがおすすめ


芸術・人文科学:特にありません。Group 1, 3, 6を中心に取ることが良いでしょう。


生物学:Biologyは必須の場合が多いです。Mathが要件に入ってくるかもしれません。


経営学:特に必須の科目はありません。


ビジネスマネジメント・商学:Business ManagementとMathが推奨されます。


金融学:EconomicsとMath AA SLまたはMath AI HLが推奨されます。


化学:Chemistryが必須の場合が多いです。理科を2教科取るのがおすすめです。Mathも要件に入ってくるかもしれません。


農学:理科を2教科取ることが要求される場合が多いです。Chemistryと、BiologyまたはPhysicsのどちらかを取る方が多いです。数学もできればHLを取るのが望ましいでしょう。


コンピューターサイエンス:Mathが必要です。


経済学:Math AAに関して要件がある場合が多いです。Economics HLも必要です。


化学工学:理系(PhysicsとChemistryが多い)を2科目HLで履修しましょう。数学に関して要件があるかもしれません。


電気工学:Physics HLが必須の場合が多いです。もう1科目、理科をHLで取りましょう。Math AA HLも必要な場合が多いです。


機械工学:理系を2科目履修しましょう。Math AAも必要でしょう。


宇宙工学:PhysicsとMathが望ましいです。Geographyも役立つかも。


環境学:BiologyまたはESS、およびMath AAが望ましいです。Geographyも役に立つかもしれません。


文学:主要言語のHLが必要でしょう。


歴史学:HistoryやGroup 1のHLが望ましいです。


国際関係学・政治学:特にありませんが、文系科目2つが望ましいでしょう。


ジャーナリズム:文学(Group 1)のHLが必要な場合があります。文系科目が望ましいでしょう。


法学:Group 1のHLが望ましいです。Historyなど、書くことが必要な科目も望ましいです。


メディア・映像:特にありませんが、取れるならFilm等を履修するのも良いです。


医学・獣医学・看護:BiologyとChemistryをHLで履修することが求められます。Mathに関して条件がある場合もあります。


心理学:BiologyやChemistry、Mathを推奨されることがあります。Psychologyは必ずしも取らなければならないわけではありません。


物理学:PhysicsならびにMath AAのHLが要求されることが多いです。


演劇:Group 1と6をHLで履修するのが良いでしょう。



科目の組み合わせ

この教科とこの教科を一緒に取っておくと、学習内容が似ていて役に立つ、といったものをご紹介します。


①Biology + Chemistry

この組み合わせは、医学系や農学系に興味のある方におすすめです。大学進学の際、大学から科目指定されることの多い組み合わせです。生物では、生物に起こる様々な化学反応を学びます。化学のカリキュラムと重なるところが多く、相互の教科の理解が早まります。


②Physics + Mathematics Analysis and Approaches 

工学系や建築、航空系に興味のある方におすすめの組み合わせです。どちらの科目も、難解な計算が多いのが特徴です。様々な問題に対応する力を身につけられる組み合わせです。



注意点

特にこれといった注意点はありませんが、強いていうなら以下の2つです。


①大学が要求している科目を選択しているか?

ぼんやりとでも、将来こんな進路、大学に進みたいといった考えがある場合は、その大学・学部が、IBDPで選択するよう要求/推奨している科目がないか、チェックしてください。あれば、それに従ってください。その科目を履修しなければ、出願資格が得られなくなる場合があります。


②English Bについて

英語がネイティブレベルでなく、「学んでいる」過程であれば、Language acquisition(第2言語)のグループでEnglish Bを選択することができます。私も取りました!ただ、このEnglish Bは、English Aとは異なり、英語力の証明として使うことが難しい場合が多いです。


English Bが原因で大学に不合格になることはありませんが、海外の大学に出願する際、授業についていける英語力があるという証明をしなくてはなりません。TOEFLやIELTSといったテストの点数を提出することがほとんどです。


English Bでも、入学資格として認められる大学もあります。私の通うUCLでは、English Bで7点中5をとれば、TOEFLやIELTSは免除されました。

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